記事を書くうえで意識すべき具体性は、詳細な記述によって記事に他の解釈の余地を残さないことです。
これにより、読解にちなむ不確実性とリスクを減らし、読者に誤読される確率を低減できます。
しかし、この具体性とは、何を意味しているかわからない人も多いでしょう。
本記事では、具体性の意味や、具体的に書くことで得られるメリット、記事を具体的にするテクニックを紹介します。類似記事の「記事で意識すべき明瞭性とは?明瞭性を構成する八つのポイントを紹介」とあわせてご覧ください。
記事で意識すべき具体性とは
繰り返しますが、記事で意識すべき具体性は、記述を詳細にすることで、読者に解釈の余地を残させないことです。米国インディアナ州立のパデュー大学によると、一般的なライティングと具体的なライティングは下記のように区分されています。
![一般的なライティングと具体的なライティング](https://wataru02.jp/wp-content/uploads/2022/05/e382b9e382afe383aae383bce383b3e382b7e383a7e38383e38388-2022-05-30-16.57.29.png?w=732)
ご覧の通り、用語は右に行けば行くほど、具体的になっていることがわかります。このように、記事、あるいは文章での具体性とは、言葉の定義付けが明確であるとも解釈できるでしょう。
記事に具体性が欠けると、読み手から文章が表面的、回避的だと受け取れるリスクが上昇します。たとえば、ビジネスの一例ですが、従業員にM&A(企業合併)について通知する際、内容を不明確にすると、従業員の猜疑心を助長し、会社の士気を低下させる可能性があるでしょう。
具体的に記事を書くことで得られるメリット
具体的に書くことで得られるメリットは、①読者にイメージを持って伝わる②主観を排除し、裏付けを与えられる③記事に臨場感を出せる、の三つです。
それぞれを解説すると、①の読者にイメージを持って伝われば、記事の内容が読み手の頭に残ります。たとえば、「島根県の人口は急激に減少している」よりも、「島根県の人口は毎年5000人を超える水準で急激に減少している」の方がインパクトがあります。
②の主観を排除し、裏付けを付与できることは、記事の信用性が増すことと同義です。たとえば、「日本の給与は過去30年で減少している」よりも、「国税庁の民間給与実態統計調査によると、日本の給与は2019年時、ピーク時の1997年と比べて31万円減の436万円と漸減している」の方が説得力を有しています。
③の記事に臨場感を出せるは、読者が体験しているようなリアリティを生み出せることです。具体的に書くテクニックを駆使すれば、書き手の追体験をできる文章に仕上げられるかもしれません。
記事を具体的にするテクニック
記事を具体的にするテクニックは下記の三つがあります。
- 数字を入れる
- コメントを入れる
- エピソードを入れる
この三つを徹底することで、記事の具体性はグンと上がるでしょう。
数字を入れる
数字を入れることは、最も普遍的な具体性向上のテクニックです。
たとえば、「日本は円安に伴ってインフレが起きている」は、抽象的です。「統計局によると、日本の消費者物価指数は対前年同月比で2.5%になるなど、円安に伴うインフレが顕著だ」などと修正すると良いでしょう。
コメントを入れる
コメントを入れることは、記事の臨場感を増やす上で有効です。
たとえば、「選挙対策本部の支援者たちは、候補者の当選の報を受けて、歓声をあげた」は情景描写が平面的です。「選挙対策本部の支援者たちは、候補者当選の報を受けて、『やった!』『2期目の努力が実った』と喜んだ」とコメントを加え、現場感を伝えましょう。
エピソードを入れる
エピソードを入れることは、読者の感情を喚起させるために有効です。
たとえば、「A酒造の杜氏は、丹精を込めて新製品の大吟醸を製造した」では、内容が一般化しており、ひねりがありません。
そこで、「昨年、亡くなったA酒造のB杜氏の父は、地元産の山田錦を使った新酒の製造を望んでいた。B杜氏は父の思いを背負い、丹精を込めて新製品の大吟醸を製造した」とすると、情景が浮かびやすくなります。
まとめ
記事の具体性を意識するとは、ある意味、書き手としての当事者性を意識することでもあります。
その意識付けは決して派手なものではありませんが、記事にリアリティを与え、魅力的にする上でも重要だといえるでしょう。