一文一義は、一文の中に、一つの情報だけを書く方法です。
わかりやすい文章を書く上で重要な文章技法とされ、多くのプロのライターが意識して実践しています。
それでも、この一文一義について聞き慣れない人も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、一文一義の意味やメリット、修正例について紹介します。
一文一義の意味
一文一義は、一文(ワンセンテンス)の中に、一つの事柄だけを書く、という意味です。
文章の明瞭性を上げるための代表的な技法とされ、プロのライター業界のほか、アカデミックな業界で重宝されています。
厳密な定義はありませんが、おおよそ60字以内に抑えた文章が、一文一義にあてはまるようです。
一文一義のメリット
文章を一文一義にすると、読み手が文章を理解しやすくなります。
これは、一つの文に一つの事柄しか書かれていないことから、読み手が順番に理解しながら、読み進められるからです。
一般的に、情報は抽象度を落とせば落とすほど、読み手の解釈の幅が狭くなります。
解釈の幅を狭くすることは、読み手の読解にかかる負担度を落とすことと同義です。
この点、一文一義を徹底した文は、読み手の理解度に配慮した文と言えるでしょう。
一文一義の修正例
たとえば、今回は、下記の文章の一文一義に書き直してみます。
日本の大学生の勉強時間に関する調査によると、94.3%の学生が「1 日あたり2、3時間」と解答しているが、その原因については全く不明で、この勉強時間は諸外国での平均値 6 時間より相当少なく、アメリカの大学生の平均値 8 時間とはかけ離れているが、その差がどうして生じているのかの実態調査が急務である。
名桜大学「一文一義で書く(学生用)」アカデミックライティングⅠ(4)
問題例は、一文が全てつながっており、二義にも三義にもなっています。
この状態では、読み手は読解に苦労してしまうでしょう。
そこで、私は、問題例を下記のように書き直しました。
日本の大学生の勉強時間に関する調査によると、94.3%の学生が「1日あたり2、3時間」と解答しています。この勉強時間は諸外国での平均値6時間より相当少ない時間です。さらに、アメリカの大学生の平均値8時間ともかけ離れています。勉強時間が極端に少ない原因は全くの不明です。諸外国との差がどうして生じているのかの実態調査が急務となっっています。
作成例では、文章の構造を少し入れ替えることで、一文一義を実現しました。
逆説を意味しない「が」を省き、文章のねじれも解消させています。
以上は、一例ですが、「前後の文脈を意識する」「一文当たりの句読点は2つまで」といった原則を守りながら執筆すると、自然な一文一義の文章になります。
まとめ
一文一義にも例外はあります。
たとえば、過去に生み出された純文学の名作品の多くは一文一義を守っているとは言えません。
しかし、こうした作品は、ロジックを練りに練って生み出されたものです。
一般的な書き手は、多くの描写や出来事を一文に詰め込むと、文章全体の意味が通らなくなってしまいます。
だからこそ、多くの人は一文一義を日頃から意識することをおすすめします。
文章は何よりもわかりやすいことが最も重要です。
この原則を守ってこそ、理想とする融通無碍な文章表現を体得できるでしょう。